2016年6月14日火曜日

アンテロープのジャンベ

6/12ムリウイライブから、写真左の岩原大輔さん(右は中村翔くん)が叩いてるジャンベについて。

ある日叔父から連絡を受け、舞踏家だった叔母の遺品の楽器たちを譲り受けました。聞くとどうやらアフリカの楽団が来日の際に叔母にくれたもの?だとか、あまり叔父も詳細は覚えていない様子。
その中に二つジャンベがあり、一つはもう皮も破れて修理が必要で、もう一つはまだ健常。音は何とも言えずふくよかな、ジャンベにしてはかなり上品に思える音でした。

叔父からは「誰かちゃんと管理できる人の手に渡してほしい、ただしこの夫婦ジャンベは何があっても一緒にしておいてほしい」と、多分叔父自身をジャンベに重ねてか、大分しんみりとした口調で言われました。

ただ、正直こんな身元不明の破れたジャンベを引き取ってくれて、しかも大事に扱ってくれる人がいるのだろうか…と思いあぐねているうちに、案の定うちの民族系の調度品の一つに成り下がってしばらく時が経ちました。

その後、岩原さんと出会い、何度か演奏を共にして、何と無く直感的にこの人は大事に使ってくれそうだなぁと判断してお譲りしました。もちろんセットで。半ば押し付ける形で。

そこから半年強くらい。
リハで「これ麦くんからもらったやつだよ、初めて本番で使うんだ」と楽しそうに言う岩原さんをみて、なんだかこちらも無性に嬉しくなりました。
しかも不明だった身元まで大分調べてもらって、ガーナ生まれで、アンテロープの皮なんだーとか。

ガーナの楽師から叔母の手に渡り、今は岩原さんの手に。その楽器の音色が自分の音と交わり、時も場所も人も幾重にも交錯したあとに、一瞬の調和として出てくる音楽。とてもとても愛おしく感じました。